1965-2000年における大都市圏の通勤距離の変化動向及びその要因に関する研究
鈴木勉ほか
(社)日本都市計画学会 都市計画論文集 No.41-3 2006年10月
http://pkawap20.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/~urbanplan/all/pdf/2006-41-3-37-217.pdf
背景・目的
日本では、戦後の高度経済成長期、安定成長期、バブル期とその後の景気停滞期の期間毎に市街地の拡大とその社会経済特性に様々な特徴が見られた。こうした大都市圏の成長過程を把握することは、誘発される問題点を考察するための作業として基礎的かつ重要である。本論文では、日本の7大都市圏を対象として、35年間のわたる通勤距離の変化動向を把握し、同時に常住・従業別の両面から都市圏内の通勤距離の違いに着目することによって、その要因を考察することを目的としている。
方法・内容
本論文では2000年国勢調査で定義されている7大都市圏を対象とし、国勢調査で通勤・通学についての調査が行われた1965-2000年の5年毎の7時点を対象年とする。利用データは、国勢調査から大都市圏別に市町村間ODデータを構築し、地域別の変化を見るために行政区域の変更・分離・合併を考慮して調整している。
結果・考察・まとめ
①1965-1975年には、全大都市圏における就業者数が急速に増加し、通勤距離の変化率も大きく増加した。特に、三大都市圏においての増加は顕著であった。これは、就業者数の増加による通勤距離が長くなり、大都市圏の通勤圏域が広がったこと、ニュータウンなどの住宅団地の計画や開発が要因として考えられる。
②1975-1985年には通勤距離の増加の伸び率が小さくなったが、住宅団地の開発、空港などの雇用拠点の開発などによる通勤距離の増加が見られた。
③1985-1990年はバブル期であり、全大都市圏で就業者数の変化率が大きく、常住・十行距離の変化率も増加した。
④1990-2000年は景気が減退し、全大都市圏で就業者数と通勤距離の増加率が小さくなり、1995年からは、札幌以外の大都市圏で就業者数は減少傾向であった。一部では、通勤距離の減少傾向と共に、都心部での常住距離の増加も見られた。
本研究における通勤距離は各年別の道路インフラや交通手段などの実現を勘案したものではなく、また、要因把握の面では市区町村単位での把握による限界があるので、今後の継続的な動向把握と共に、より詳細な地区単位での現象把握を行うことが今後の課題であるとしている。
感想
経済状況によって常住距離や従業距離が変化してくるということにおもしろみを感じた。研究で主に扱うのは非集計データであるが、集計データの使い方など少し分かった。
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