Tuesday, July 28, 2009

7月28日 久保田

非集計型住宅タイプ選好モデル
宮本和明 宮地淳夫
(社)日本都市計画学会 都市計画論文集 1982年
http://pkawap20.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/~urbanplan/all/pdf/1982-17-24-139.pdf

研究概要
都市あるいは地域の計画において、住宅立地に関する問題は、最も重要な課題の一つである。計画の分析方法として、住宅立地モデルあるいは土地利用モデルが構築されてきている。
今後予想されるような世帯タイプの変化をはじめとする構造変化に対応するためには、これから住宅需要予測を内生化する必要がある。本研究では、住宅立地モデルの配分対象となる住宅需要を予測するためのモデル構築の第一段階として、全ての住宅需要を住宅タイプ別に分解するモデルの構築を目的とする。

方法・内容
住宅需要予測のモデル化にあたり、将来予測における世帯タイプの変化等を明示的に取り込むため、個人(世帯)行動に基づく非集計モデルが適していると考え、アンケート調査に基づく世帯の住宅選好分析をもとにモデル化を行っている。既存のlogit modelなど、それらに基づいて住宅立地分析用に改良したモデルを用いている。
首都圏を対象にモデルを適用し、その有用性を確かめている。

結果・まとめ
住宅需要予測モデルに関する研究の最初の段階として、住宅タイプ別の分解モデルを構築した。構築したモデルは未だ十分な検討がなされているとはいえないが、その成果は適用可能性を示しているとしている。課題としては、改良logit modelの適用上および数学的な検討、一連の住宅需要予測モデルの構築などが挙げられている。

感想
logit modelやnested modelなど参考になりそうなモデルがいくつかあった。しっかりと理解して、非集計モデルへと適用できるよう努力したい。その中での条件の整理の仕方もだんだんわかってきたと思う。

Thursday, July 23, 2009

7月23日 久保田

用途地域制と戸建専用住宅の立地活動との関連性 -金沢市における調査研究-
川上光彦 竹田恵子
(社)日本都市計画学会 都市計画論文集 1989年
http://pkawap20.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/~urbanplan/all/pdf/1989-24-25-145.pdf

背景・目的
今後の都市計画において、建築物の用途や形態等の適切な誘導により良好な居住環境を形成していくことが一つの重要な課題であるとし、用途地域制と建築活動の関連を対象としている研究がそれほど多くないため、本研究では、戸建住宅を取り上げ、金沢市をケーススタディーの対象地域とする調査研究を通じ、用途地域性と住宅の立地活動との関連性について明らかにしようとしている。用途地域は市街地の現状や発展動向を踏まえ将来計画を具現化するための一つの手法である。

方法
建築活動全体の実態把握とその中での戸建専用住宅の位置づけを行うため、建築計画概要書の集計分析を行っている。また、用途地域との関連で立地構造などを探るため調査票を用いた実態調査を行っている。
分析は、立地用途地域と住宅属性または世帯属性などとの関連性について行われている。

結果・まとめ
・ 戸建住宅の建築件数は圧倒的に多い。
・ 戸建住宅が各用途地域に散在しているのに対し、共同住宅は用途地域による偏在が激しい。
・ 1種住専で規模の大きな住宅に特化し、商工系の地域で小規模住宅に特化していることが明瞭に分かる。
・ 用途地域により、建築タイプの立地割合にかなりの差がある。
・ 新築は高年齢層が、分譲は若年齢層が多い。
・ 平均年収では用途地域、住宅タイプによりかなり明瞭な差が見られる。
・ 通勤時間が短いほうが狭小面積である傾向があり、敷地と通勤の利便性との背反関係を反映している。
・ 環境評価の高い居住系地域のほうが定住意識は高い。
用途地域制と関連して立地と建築活動に一定の関連性が認められるため、各地域特性に応じたきめ細かな都市計画的対応が必要である。
課題としては、さらに用途地域の指定基準との関連性を考慮しながら、各用途地域の地域特性との関連で建築物の立地と建築活動を分析していくこと、他の住宅タイプや建築形式についても同様の分析を行うこと等が挙げられる。

感想
世帯による土地や住宅の選び方など、エージェントの選択の条件として研究に用いることができると思った。大いに参考にしていきたい。

Monday, July 13, 2009

7月14日 久保田

大都市近郊住宅地を対象とした住宅立地土地利用モデルの一試案とその評価
伊藤滋 水島孝二 支倉幸二
(社)日本都市計画学会 都市計画論文集 1970年
http://pkawap20.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/~urbanplan/all/pdf/1970-5-15-102.pdf

モデルの概要
大都市近郊の小都市における将来人口予測を、土地利用、交通条件、地価といういわば三位一体的なものの相互関連から行おうとした。住宅立地は需要者側と供給者側の行動によって決定されるが、それが静的関係において、いわば二曲線の好転から求められるというよりは、むしろ計画地域内各地区相互の関連及び同地域とその周囲との関連で把えていくことを主旨としたモデルである。

内容・結果
ある期の都市全域の人口を、地価、一期前の人口等から推定を行い、その人口を交通機関への接近度、人口密度等を説明変数として更に各地区に配分する。その配分された地区別人口は、別に宅地供給関数を媒体として求められた地区別の宅地供給量と結びつけられ、これらが説明変数として組み込まれた地価関数によって各地区の住宅価格が決められる。この地区別住宅価格は、全市1本の平均宅地価格に換算されて市外の地価水準と比較され人口総量変動の一つの要因となる。
地区別地価→市全域人口→各地区別人口→地区別地価→・・・という繰り返し演算を必要とするループを設定し、市全域の人口がある一定の変動範囲に収束するまで実施する。アウトプットされるものは、各年次別・各地区の地価、人口、宅地供給量の3指標である。
戸田市を対象にシミュレーションを行い、将来の人口予測を行っている。考察において、過去の動向のみを尊重しているケース1,2よりは、都市計画的常識によって改良を施していったケース5,6,7,8の方が比較的信頼性の高いものであるとしている。

感想
1970年の古い論文ではあったが、参考になりそうな数式や、考え方が多く使われていた。大いに参考にしたいと思う。

Wednesday, July 8, 2009

7月8日 久保田

大都市圏におけるタイプ別住宅需要推計モデル
林良嗣  磯部友彦  冨田安夫
(社)日本都市計画学会 都市計画論文集 1982年

http://pkawap20.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/~urbanplan/all/pdf/1982-17-7-37.pdf

内容
本研究は、大都市圏の土地利用分析の一過程として、住宅立地需要を住宅タイプ別に予測するための方法の一試案である。住宅地の詳細な立地を見出すモデルの入力として用いられることを想定している。本研究では、都市圏での住宅立地予測を、新規需要と住替需要に分け推計し、次に住宅タイプ別の需要を求め詳細な立地分布を見出す。基礎データとして、昭和53年の住宅需要調査の結果を利用している。

住替えの傾向
通勤時間が長いほうが住替えし易い。室数が少なく狭小なほど住替えし易い。借家のほうが住替えし易い。所得の多少による単調な変化は無い。家族人員が多いほうが住替えし易い。商業業務地面積比率が大きいほど住替えしにくい。このほか30歳未満の世帯において住替えし易い、というものがあったが今日の社会では考えにくいと感じた。

結果と課題
環境の良好な土地ほど効用が大きい。通勤時間による効用は30~45分が最も大きく、以下30分未満、45分以上の順である。近郊居住者は近郊、郊外居住者は郊外へ移転する傾向がある。40代以上は環境の良好で地価の安い郊外を選択する傾向がある。自営業は近郊、会社員は郊外を選択する傾向がある。世帯人員が多いほど戸建を求める傾向がある。
適中率は68,7パーセントと比較的良好であったとしている。
課題として、各世帯の住環境に直接影響を及ぼす狭い地域での土地条件を説明変数として入れることによりモデルの精度を向上させること、移転世帯の移転理由と同様に非移転世帯の移転しない理由を調査、反映させること、金利の変動による需要の増減、住宅ストックの供給量の考慮、各選択肢の特性に関するより良い指標の検討などが挙げられる。

感想
データ整理の手順や必要なデータ、また、エージェントに選択させる条件の設定の仕方などを知ることができた。さらに、フローチャートや表、式なども使えそうなものが多くあったので活用していきたい。

Friday, July 3, 2009

リンクについて

3番は学外へも公開するサーバーですので、このサーバーへリンクを貼ると、都市計画学会の論文を外部でも見られてしまいます。
3番を利用しないで、20番を利用するようにしでください。

7月3日 久保田

詳細な属性を考慮した都市圏世帯分布予測システムの構築
五十嵐豪 徳永幸之 宮本和明 杉木直
(社)日本都市計画学会 都市計画論文集 No.40-3 2005年10月

http://pkawap20.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/~urbanplan/all/pdf/2005-40-3-158-943.pdf

背景・目的
近年、都市の熟成化と共に、人口分布に変化が起こっており、ある程度詳細な世帯構成を明示的に考慮した効率的な公共投資計画が必要であるといえる。そのためには、まず現在の世帯分布をその詳細なタイプや住宅タイプ別に推計した上で、将来の変化を予測する必要がある。本研究ではそのための予測モデルを構築することを目的としている。

方法・内容
国勢調査データを用い、2000年から2020年までの5年毎にシミュレーションを行っている。様々なパラメータを作成し、数式モデルを用いて条件を設定し、シミュレーションを行った。IPF法という手法を用いている。IPF法の次元数を増加させ、住み替えを十分に説明できるよう、従来の研究よりも詳細な世帯属性まで推定し、ゾーンレベルでの世帯の現在分布推定を試みている。
さらに、構築した世帯予測システムを仙台都市圏に適用し、システムの有用性を確認している。

結果・考察・まとめ
本研究の成果として、IPF法の次元数を増加させるモデルの入力値である現在分布を推定することで、長期的な需要予測に対応してシステムを構築したことがあげられる。また、構築した世帯予測システムを仙台都市圏に適用し、システムの有用性を確認した。
課題としては、マイクロシミュレーションなどへの適用においては更なる検討が必要であること、背に確率の再考と転居先モデルの精度向上、社会動体を含めたシステム再現性の確認、政策評価モデルとしての有効性を高めるためタイプ別住宅の供給モデルの構築、などがあげられている。

感想
いくつか利用できそうな数式を見ることができた。研究に用いることができるか吟味していきたい。また、システムの都市への適用を行っている点は大変参考になった。