用途地域制と戸建専用住宅の立地活動との関連性 -金沢市における調査研究-
川上光彦 竹田恵子
(社)日本都市計画学会 都市計画論文集 1989年
http://pkawap20.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/~urbanplan/all/pdf/1989-24-25-145.pdf
背景・目的
今後の都市計画において、建築物の用途や形態等の適切な誘導により良好な居住環境を形成していくことが一つの重要な課題であるとし、用途地域制と建築活動の関連を対象としている研究がそれほど多くないため、本研究では、戸建住宅を取り上げ、金沢市をケーススタディーの対象地域とする調査研究を通じ、用途地域性と住宅の立地活動との関連性について明らかにしようとしている。用途地域は市街地の現状や発展動向を踏まえ将来計画を具現化するための一つの手法である。
方法
建築活動全体の実態把握とその中での戸建専用住宅の位置づけを行うため、建築計画概要書の集計分析を行っている。また、用途地域との関連で立地構造などを探るため調査票を用いた実態調査を行っている。
分析は、立地用途地域と住宅属性または世帯属性などとの関連性について行われている。
結果・まとめ
・ 戸建住宅の建築件数は圧倒的に多い。
・ 戸建住宅が各用途地域に散在しているのに対し、共同住宅は用途地域による偏在が激しい。
・ 1種住専で規模の大きな住宅に特化し、商工系の地域で小規模住宅に特化していることが明瞭に分かる。
・ 用途地域により、建築タイプの立地割合にかなりの差がある。
・ 新築は高年齢層が、分譲は若年齢層が多い。
・ 平均年収では用途地域、住宅タイプによりかなり明瞭な差が見られる。
・ 通勤時間が短いほうが狭小面積である傾向があり、敷地と通勤の利便性との背反関係を反映している。
・ 環境評価の高い居住系地域のほうが定住意識は高い。
用途地域制と関連して立地と建築活動に一定の関連性が認められるため、各地域特性に応じたきめ細かな都市計画的対応が必要である。
課題としては、さらに用途地域の指定基準との関連性を考慮しながら、各用途地域の地域特性との関連で建築物の立地と建築活動を分析していくこと、他の住宅タイプや建築形式についても同様の分析を行うこと等が挙げられる。
感想
世帯による土地や住宅の選び方など、エージェントの選択の条件として研究に用いることができると思った。大いに参考にしていきたい。
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